セルフケア

むし歯による悪影響 ―予防の重要性―

むし歯による悪影響 ―予防の重要性―
 歯科における予防というとすぐに「むし歯の予防」を思い浮かべると思いますが、歯周病においても同様に予防が重要で、いずれも毎日のセルフケアが基本になります。歯みがきの習慣が浸透し口腔に対する皆さんの関心も高まってきた現在、以前に比べるとはるかにむし歯の数は減少しており、全くむし歯のない人が増えている一方で、たくさんのむし歯を抱えている人もいるのが現状です。いったんむし歯にかかってしまうと自然治癒は期待できませんから、言い換えれば元の形には戻りませんから予防がとても重要となります。特に小さいお子さんの場合、ひどいむし歯は成長発育に悪影響を及ぼし、歯並びやかみ合わせだけではなく、顔や姿勢のゆがみをきたすこともあります。また、生えて間もない永久歯(幼弱永久歯)は石灰化(歯が硬くなること)が不十分で、酸に対する抵抗性が低いため容易にむし歯になってしまいます。これを防ぐには、歯みがきをきちんと行いプラークを除去すること、間食に注意してだらだらと飲んだり食べたりしないこと、家庭におけるフッ化物による歯質強化が必要不可欠です。さらには定期健診でむし歯の有無や歯みがきのチェック、クリーニング(歯のお掃除)をするべきです。その他にご希望があれば、年2~3回の頻度でフッ化物の塗布、レーザーを駆使しての歯質強化という処置もあります。

効果的な予防とは?

 むし歯や歯周病を予防したい、悪くならないようにしたい、健康な歯でいたい、歯でいろいろ悩みたくない、きっと皆さんはそう願っていますよね。しかし、実際には多くの方が歯や歯ぐきに問題を抱え、わたくしたちの所を訪れています。毎日歯は磨いているのに、どうしてむし歯になるのだろう、予防のやり方がいけないのだろうか、一体どうすればいいのだろう、このような疑問や悩みをお持ちの方も多いと思います。

 では、どのようにすれば効果的に予防が出来るのでしょう?それをご説明する前に、まず、むし歯はどのようにして発生するのか考えてみましょう。

予防の手段

 予防の基本はプラークコントロール(歯口清掃)、つまり歯垢を取り除くことにあります。その手段として
  • 歯ブラシ
  • 歯間清掃器具(デンタルフロス、歯間ブラシ)
  • 歯磨剤(フッ化物入り、薬用)
  • 洗口剤(デンタルリンス、マウスウオッシュ)
  • フッ化物(洗口、塗布)
  • キシリトール配合のガム
  • ミネラルパック(MIペースト)
などがあげられ、これらを駆使して1日3~4回の歯磨き、歯間清掃、その合間にガムを噛み、洗口剤でうがい、寝る前にフッ化物の塗布や洗口、時々MIペーストによるミネラルパックなど、以上が理想的なセルフケアとなるでしょう。でも、はたしてこれらを全て毎日行うことが出来るのでしょうか、あるいは本当に全てが必要なのでしょうか。確かに理想ではありますが、ほとんどの人は無理だと思いますし、必ずしも全てを行わなくても予防は十分に可能だと考えます。

 では、実際にどのようにすれば効果的に予防することが出来るのでしょうか?まずは生活習慣を見直すことから始め、自分のライフスタイルに合わせて出来るところから、無理なく長続きする方法を見つけて、しだいに内容を濃くしていくのが良いのではないでしょうか。

 次に、無理なく出来るセルフケアの1例をご紹介します。

手軽にできる予防(セルフケア) -毎日の積み重ねが大事ですー

手軽にできる予防(セルフケア) -毎日の積み重ねが大事ですー

酸性食品について ―飲食物が直接歯を溶かしますー

 酸性食品(炭酸飲料、酢、柑橘類)を摂取後は、一般的には遅延磨き(摂取後30分~60分後のブラッシング)が推奨されています。摂取直後は歯面が酸性に傾いているので歯が減りやすくなっており、すぐに強くブラッシングをすると歯を傷める危険性があるからです。(ただし、これはあくまでも実験データで、生体では確認されておりませんので、実際のメカニズムについては、まだまだ不明な点があります。)  しかし、むし歯と違い直接、酸が歯を溶かしますから、当院では、できるだけ早く取り除いた方が良いと考えています。そこで、摂取後はすぐうがいをして洗い流し遅延磨きをするか、摂取後すぐ磨く必要がある場合には歯磨剤を少量付けて軽く磨くようにしましょう。