顎関節症の治療について

顎関節症の分類

 保存的治療と外科的治療がありますが、ほとんどの場合保存的治療で対応し、外科的治療の適応となるのはわずかです。保存的治療には次のようなものがあります。

 1)生活指導   態癖、その他の習癖の改善指導
 2)スプリント療法   各種スプリント(マウスピース)を用いて関節の負担を軽減
 3)理学療法  物理療法 運動療法(ストレッチ)
 4)薬物療法  消炎鎮痛剤 筋弛緩剤など
 5)咬合療法  咬合調整 補綴歯科治療 矯正歯科治療
 6)心身医学療法

*歯を削ったり被せたりという治療は、安易に行わず必要最小限にとどめます。

治療によりどのような変化があるのでしょうか?

 態癖をはじめとする生活習慣を改善で症状が改善するだけではなく、筋肉の力が抜けてリラックスすることにより、無理な力がかかり押し込められていたあごの位置が元に戻ってきます。これは崩壊した状態から治癒へ向かう道なのですが、あごの位置が変わることによりかみ合わせが合わなくなります。通常、左右どちらかの前方に移動し、奥歯が空いてきます。そこで、体にとって最適なあごの位置(下顎位)でかみ合わせを再構築する必要があります。それには矯正治療を行ったり、補綴治療により被せ物をやり直したりします。

 大がかりな矯正治療を希望しない場合には、簡単な装置により奥歯の空いた部分だけを改善する方法もあります。あるいは、生活習慣の改善とスプリント療法で症状が改善し、その状態で満足される方もいらっしゃるでしょう。いずれにしても、日常の生活習慣改善がとても大事だということを忘れないでいただきたいと思います。