インプラント

インプラントとは

インプラントとは
「乳歯、永久歯に続く第三の歯と言われております」

 歯を失ってしまった場合、顎の骨の中に生体親和性が高く安全なチタン製のネジの様な人工の歯根を入れ、その歯根の上に人工の歯を装着するのがインプラント治療です。人が物を噛むときの力は、想像以上に大きいものですが、顎の骨に埋め込むことで、天然歯と同じように噛む機能を改善し、強く噛むことも可能です。また 上部構造の歯冠の色や形も、最新の歯科技術によって、自分の歯と同じように作ることが可能です。

歯を失ってしまったら

 歯の最も重要な役割は、噛む事ですが、それだけではなく発音機能や審美的な要素も含まれます。しかし、むし歯や歯周病、不幸な事故により歯を失ってしまう場合、たった1本失うだけでも機能と審美性が崩れ、ひいては咬み合わせのズレにより身体全体のバランスにも悪影響を及ぼします。 そのため、できるだけ早くその失った部分を人工の歯で補うことが重要です。

そのまま放置

  • 周囲の歯が動きます。
  • 対合していた歯が浮いてきます。
  • 食べ物がつまりやすくなります。
  • 噛む機能が低下します。
そのまま放置

ブリッジ

  • 隣の健康な歯を沢山削り、神経にダメージを与える場合があります。
  • 支える歯に負担がかかります。
  • 支える歯が2本以上必要です。
  • 歯の抜けた部分の骨が、次第にやせていく場合があります。
ブリッジ

部分入れ歯

  • 入れ歯の留め金によって、歯などに痛みを感じる場合があります。
  • 異物感、違和感があります。
  • 審美性に欠けます。
  • 粘りのある食べ物に苦労します。
  • 硬い食べ物に苦労します。
部分入れ歯

インプラント

  • 留め金を必要としないために、口の中がスッキリし、審美的にも良好です。
  • 治療から2ヶ月で自分の歯に近い感覚で噛むことができます。
  • 粘りのある食べ物や硬い食べ物に関係なく、食事を楽しむことができます。
インプラント

インプラント治療の流れ

1、診査診断

    診察、レントゲン撮影、歯科用CT撮影、既往症などからインプラントができるかどうか判断します。

2、治療計画

    骨量測定や適応検査などから治療計画を立てて説明を行います。

3、手術準備

    手術前に、口腔内の衛生管理と事前歯科治療を行います。

4、埋入手術 [1次オペ]

    インプラントを埋入する手術を行います。2ピースインプラントを1回法で用いる場合は、ここでジンジバルカフを装着します。1回法1ピースインプラントの場合は、この手術だけです。

5、治癒期間

    骨との結合に必要な時間を確保するために治療期間を3~6ヶ月設けます。

6、装着手術 [2次オペ]

    歯肉形成をするためにジンジバルカフを装着する手術を行います。

7、印象採取

    補綴物を製作するための型を採ります。

8、補綴

    最終補綴物を装着して完了です。

当院では例え1本の埋入手術であっても午前中の診療は、その患者さんのためだけに確保しております。

インプラント埋入のイメージ

[STEP1] 治療前
[STEP1] 治療前

    歯が欠損している状態
[STEP1] 治療前
[STEP2] インプラント埋入

    歯茎を切開しドリルで顎の骨に穴をあけ、インプラントを埋入します
[STEP3] アバットメント装着
[STEP3] アバットメント装着

    埋入したインプラントに上部構造を取り付けるためのアバットメントを装着します。
[STEP4] 上部構造装着[完了]
[STEP4] 上部構造装着[完了]

    装着したアバットメントに、上部構造を装着し、完了です。

インプラントの埋入時期

 インプラントを埋入する時期により、おおよそ次のように分けられます。
1.抜歯後即時埋入抜歯と同時にインプラントを埋入
2.抜歯後早期埋入1)抜歯後 4~8週軟組織の治癒
2)抜歯後12~16週部分的な骨形成
3.抜歯後遅延埋入 抜歯後6か月以降軟組織、骨ともに治癒(成熟側)
 では、どの時期に埋入するのがいいのでしょうか? すでに抜歯後6か月以上経過したものは、すべて遅延埋入になります。選択する必要があるのは、抜かなければならない歯があり、抜歯後にインプラントを埋入する予定がある場合です。(ただし、インプラントをするために抜くのではありません。)

 抜歯後は時間の経過とともに創傷の治癒が進みますので、しばらくしてから埋入した方が無難で、種々のリスクが少なくなります。しかし一方では、時間が経てば経つほど抜歯した周辺の骨は吸収し、高さ、幅ともに減少します。それでもインプラントを埋入するのに十分な骨量があれば問題はないのですが、不足して骨造成(骨を増やす手術)が必要となる場合も少なくありません。これは大がかりな処置となり、骨造成を行い一定期間待ってから埋入するため、どうしても治療期間が長くなります。そこで抜歯と同時あるいは抜歯後早期の段階で、骨が大きく吸収する前に埋入する方法が有利になるわけです。厳密に言えば、抜歯後の歯槽骨(歯のまわりの骨)の外形(ボーンハウジング)があるうちに埋入し、隙間には骨補填材(人工骨)を詰めて形を保つのです。そのことで既存骨の吸収が最小限になり、さらには歯肉の退縮も少なくなるため審美的に良好な結果が得られます。また、治療期間の短縮を実現でき、まさしく「患者さんにとって優しい治療」と言えます。もちろんすべての場合に適応出来るわけではなく、歯や骨の状態によっては適さないこともあり、慎重な適応の選択が必要となります。さらにこの術式は難易度が高くなるので、十分な診査・診断と慎重な手術手技が要求されます。

 当院では適応を慎重に判断したうえで、積極的にこの方法を取り入れています。

当医院のインプラントシステムの特徴

 当院では、チタン合金の表面にハイドロキシアパタイト(HA)をコーティングしたHAインプラントを用いています。HAは歯や骨など硬組織を構成する成分であり、生体安定性、親和性、骨伝導能が明らかとなっています。そのため、HAインプラントは骨との直接結合により、チタンインプラントに比べ早期の治癒が期待できます。

[1回法]

 術式がシンプルでコストを抑えることができますが、適用できない場合があります。 1回法の場合はAQBインプラントシステムを使用します。

[2回法]

 1回法よりもコストは高くなりますが、広く適用が可能です。 2回法の場合はZimmerインプラントを使用します。

ZIMMERスプラインインプラント

ZIMMERスプラインインプラント
 HAの結晶を12000度という高温でプラズマコーティング溶射によりチタン合金の表面に吹き付け、プラズマコーティングの工程後に“MP-1”と呼ばれる特殊な熱処理を行い、HAの結晶率を97%に向上させています。これはZimmerが実現した優れた技術です。

AQBインプラント

AQBインプラント
 HAが高温で分解しやすいため、比較的高温で分解しにくいリン酸三カルシウムを溶射法によりコーティングした後、水熱処理によってHA層に変換する独自の製法を用いています。これにより化学的、物理的により安定な再結晶化されたHA被覆層となっています。

当院のインプラント治療に対する考え方

治療風景
他の治療法と同様に一つの選択肢としてインプラント治療を位置づけています。

 当院では包括的に口腔の機能や審美性を回復することを原則とし、他の治療法と同様に一つの選択肢としてインプラント治療を位置づけています。正確な診断やきちんとした技術がないままにインプラント治療を行い、トラブルを生むようなインプラントありきの歯科医療、あるいはインプラントを行うために安易に歯を抜くようなことがあってはならないと考えています。
 インプラントはきちんと処置を行えば素晴らしい治療法です。しかし健康保険が適用とならず、治療費用が他の方法と比べて高額となることも事実です。

当院のインプラントが低価格で実現できる理由。

当院のインプラント治療は安全と信頼、コストパフォーマンス(治療費)において多くの患者さんにご満足頂いております。

一回法が適用可能であれば費用を抑えることができます

 当院では1回法と2回法、二つの術式を行っております。
2回法とは1回目にインプラントを埋める手術を行い、一定期間を置いて2回目の手術で再度歯ぐきに小さな切開を加え、アバットメントという土台をスクリューで固定します。
 一方、1回法はワンピースのインプラントを埋める手術を1回行うだけです。この術式では使用するパーツも少なくて済みます。そのため、2回法と比較して低価格での治療が実現できるのです。ただし、すべての場合に1回法が使えるとは限りません

 適応としては
  • インプラント手術を行うのに骨の量(高さ、幅)が十分にある。
  • インプラントの方向と上部構造(かぶせもの)の方向が著しく異ならない。
  • 審美的要求が極端に強くない部位。
 などがあげられ、上記の条件を満たさない場合は他の追加手術が必要であったり、2回法の適応であると考えます。
それぞれの患者さんの骨の状態やご自身の審美的な要求度により条件が異なりますので、それらを踏まえてどの方法がご自身に適するかを選択することになります。

 詳しくは一度ご来院の上、ご相談ください。

インプラント適応拡大のための関連手術

~断念せざるを得ない場合が少なくありません。いわゆる難症例と呼ばれるケースです。~ 

 インプラント埋入に際し局所的な状態が必ずしも良好とは限らず、そのままでは埋入を断念せざるを得ないことが少なくありません。そのような場合には目的に応じて種々の骨造成(骨を増やす手術)を行い、インプラントが埋入出来るようにします。

どのような場合?

    1. 骨量がわずかに不足し、フィクスチャーの一部が骨内に入らず露出する。
    2. 骨の高さや幅が極端に不足し、そのままではインプラント治療の適応にならない。
    3. 上顎洞までの距離が短く、インプラントを埋入するのに必要な十分な骨量がない。

    どのような手術?

    1. 自家骨移植
    2. チタンメッシュを用いた骨造成
    3. メンブレン(遮断膜)を用いたGBR(骨再生誘導法)
    4. 歯槽骨幅増大法
      1)リッジエクスパンジョン
      2)スプリットクレスト
    5. 上顎洞底挙上術
      1)ソケットリフト(歯槽頂アプローチ)
      2)サイナスリフト(側方アプローチ)

    インプラント手術は痛いの?

     インプラント治療をお考えの方で、「手術は痛いのではないか?」と心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。手術の経験もなく、どのようなものかよく分からないのですから、不安になるのも無理はありません。でも、心配はいりません。もちろん個人差はありますが、骨造成を伴わない少数本の埋入手術であれば、さほど腫れることもなく痛みも軽度で、鎮痛剤の服用も少なくて済みます。特に当院で積極的に導入している、抜歯後インプラント即時埋入手術(保存出来ない歯を抜いて同時にインプラントを埋入)では、ほとんど腫れることもなく、鎮痛剤を服用されない患者さんの方が多いくらいです。親知らずの抜歯の方が埋入手術より、はるかに腫れや痛みを伴います。また、いろいろな報道もあり手術は怖い、危ないと心配されている方もいらっしゃると思います。ご安心ください、当院では豊富な口腔外科の技術に基づき、安全で確実な治療を提供させていただきます。

    行う時期は?

    1. 一期的(インプラント埋入と同時に手術、同時法)
    2. 二期的(骨造成を行い、一定期間後に埋入、段階法)

    どのような基準で選択するか?

     一期的に行う方が手術は一回で済むためご負担は少なくなりますが、著明に骨が不足している場合は二期的に行うことになります。適応条件を十分に考慮して選択する必要があり、無理な治療計画は結果が失敗に終わるリスクが高まります。

    まとめ

     現状の医療事情では、保険診療で行える治療に限界があるのも事実で、残念ながら理想的な治療ができるとは限りません。インプラントに限らず、プラスチックよりはセラミックのかぶせものの方が丈夫できれいですし、金属で薄く作った保険外の入れ歯(金属床義歯)の方が違和感は少なく適合がよく、位置や向きが大きく変化した歯は部分的な矯正治療で修正した後にかぶせた方がきれいに治せます。他にもいろいろ違いはありますが、最終的にはどのような材料が一番いいとか、単に入れ歯よりインプラントがいいということではなく、それぞれの患者さんご自身がどのような希望をお持ちであるか、たとえば審美的な要求度、治療方法に対する考え方、治療にかかる費用の面など、いろいろな条件を加味して決まってくるものと考えます。インプラントにしても、用いる材料を変えるだけでも費用は変わってきますので、最初から費用が高いからとあきらめずに、一度ご来院下さい。当院では、皆さんのニーズにお応えできるように日々研鑽しており、あなたにとって一番いい方法をご提案させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。