子供の矯正

お子様に対する配慮

 小児は単に成人の小型版ではないため、治療に際しては体が小さいこと以外に、精神的未熟さや成長・発育などの特殊性を配慮する必要があります。普通の大人ののように我慢できないことも多く、保護者の方が考えているようには治療が進まないことも少なくありません。
 子供が初めて歯科と出会うのは幼児期で、ほとんどは1歳6か月健診や3歳児健診の時です。その時、あるいはその後の治療などで歯科に対するイメージが形成されますので、どのような形で出会うかは非常に重要です。プラスの経験であればその後の治療もスムーズにいくかもしれませんが、マイナスの経験ではゼロからのスタートとはいきません。当院に来院されるお子さんでも、初めての歯科受診ならゼロからのスタートですが、過去に他院で嫌な経験があるとマイナスからのスタートとなり、ゼロまで戻すのにとても時間がかかります。何事も最初が肝心です。

小児矯正

 
歯が生えそろってからでは遅い場合も!

「矯正治療はいつ始めればよいか?」という問いに対し、「永久歯が生えそろってから」という返答はあてはまらない場合もあります。なぜならば、永久歯が生えそろうまで様子を見たために問題が解決しないばかりか、問題が大きくなってしまう場合があるからです。乳歯から永久歯に生え変わる途中で適切な時期に少ない治療の介入で解決することも少なくありません。逆にこの時期に治療を行わなかったために重症化し、永久歯が生えそろってから大がかりな矯正治療が必要になってしまうことすらあります。状態にもよりますが、一般的に奥歯よりも前歯の方に問題が起こりやすいと言われています。ですから一つの目安として、前歯の4本が出てきて6本が生えそろうまでの間に、でこぼこの改善や生えてくる歯のスペースを確保してあげれば、その後は治療の必要がなかったり、追加の治療が軽減出来たりします。とは言っても、保護者の方が適切な時期を判断されるのは必ずしも容易ではありませんから、定期的な健診で診察のうえ判断させていただくのがよろしいかと考えます。

お子さんの矯正を行うタイミングは?
  • 矯正治療において3~10歳頃に始めるのは1期治療(小児矯正)、永久歯が生えそろう頃に行うのは2期治療(本格矯正)と区別されます。1期治療だけで問題が解決し矯正治療が終了となる場合と、2期治療を見据えての1期治療となる場合があります。
  • 1期治療の時期は、乳歯と永久歯の交換時期であり、成長発育の盛んな時期です。この時期にいかに適切な治療介入を行うかがカギです。
  • 治療というのは矯正治療そのものだけではなく、習慣の改善や筋機能訓練も含まれます。
  • 歯並びや咬み合わせの改善をどこまで求めるかによりゴールの設定は変わってきますが、必ずしも100%でなければならないとは限らず、たとえば80%でもいいということもあると思います。残り20%の仕上がりを求めるか求めないかで、治療期間や費用が比べものにならないほど変わってきます。しかも成長発育を正しい方向へ導くという点では、1期治療はとても重要になってきます。
  • むし歯がないからいい、クリーニングできれいになっているから十分と思わずに、正常な乳歯と永久歯の交換、正常な永久歯列、さらには正常な顎関節の機能、健やかな顔面、頭頸部の成長・発育を目指しましょう。
  • それには普段のセルフケア、定期健診とプロケアの他、日常の生活習慣、悪習癖の改善が必須です。当院では、習慣の改善、口腔筋機能の訓練を組み入れた1期治療に積極的に取り組んでおります。

小児期の矯正装置

 骨格的に大きな問題がある場合は別として、乳歯から永久歯への交換の時期では、少数歯の咬合異常や永久歯が生えてくるスペーズの不足が比較的多いと思われます。具体的には、軽度の反対咬合、前歯の叢生(デコボコ)、犬歯や小臼歯の萌出異常などです。このような場合には、簡単な矯正装置で比較的短時間に改善できることも多く、部分的にブラケットとワイヤーを用いたり、可撤式(取り外し式)の床矯正装置などを用いたりします。いわゆる1期治療にあたり、成長・発育を加味しながらの治療となりますが、治療介入の必要性、治療の時期は様々ですので、特に学童期は定期検診によるチェックが非常に重要だと考えております。

拡大装置

拡大装置